今回のCSEでは「投稿規定の読みやすさ」に関するセッションがあり、その中で数十ジャーナルを抱える米国の大手学会による著者への「投稿先判断における投稿規定の役割」に関するアンケートの結果が発表されました。
アンケート結果によると著者が論文の投稿先を検討するにあたって、投稿規定は判断の大きな要素となっている事が判明しました。そしてその中でも著者は下記のポイントを判断材料としているという結果が出たそうです。
1)シンプル性
2)読みやすさ
3)適切な説明が書かれている
4)文字量が少ない
5)国際基準に則っている、
また、その調査結果の確証するために2つの同じ主旨、規模、内容のジャーナルがあった際に、著者は上記の条件に合っているジャーナルに投稿する傾向があるとの結果が出たとの事です。この結果によって、ジャーナルは定期的に投稿規定の記載内容だけではなく、投稿規定のUXにも注意を払うことが必要という事がわかります。
投稿規定を分かりやすくすることで、差戻し(unsubmit)される論文の数を減らすだけではなく、採用論文の入稿前の確認と修正も減らすことによって、編集事務局の作業削減と効率化を実現させ、またその結果として投稿から出版までの時間短縮につながります。
そのための手法として記された指針は
A)長文を避ける
B)シンプルな単語を使う
C)的確に分かりやすい表現を使う
などのアイデアが実際のサンプルと一緒に共有されました。
英文誌の場合、英語が第一言語では無い著者の方が絶対数は多いと仮定する事は出来ます。その様な著者にとっては、よりシンプルで分かりやすい表現や単語チョイスが必要です。また、これは英文誌に限った事ではありません。和文誌の場合でも著者にとって日本語が第二、第三言語という事も考えられます。
PubMedや DOAJなどの国際的なデータベースに収載されるためには、国際基準に沿った投稿規定が必須です。しかし、それだけでは著者を遠ざける結果になり得ない、という事になり、これは現在の世界的なInclusionの流れに逆行することになります。上述の通り、投稿規定内でジャーナルのポリシーを明確化する事はあらゆるリスクからジャーナルを守るために重要です。また同様に、投稿規定には国際基準やジャーナルとしての方針を明記することが非常に重要になります。
しかし、著者目線から見て大切なのは、分かりやすく、理解しやすい表現を使う事で著者にとって投稿しやすい環境を作りつつ、ジャーナルの活性化を促し、また編集事務局にとっても作業しやすい環境作りを可能にし、著者・ジャーナル・編集事務局にとってwin-win-winの関係を創ることだ、とつくづく考えさせられました。
これらを踏まえると、これまではしっかりと細かい表現を用いてジャーナル運営側の目線から投稿規定を作成することは非常に重要でした。しかし学術出版の業界における、より一層のInclusionの必要性を踏まえると、これからはいかに意味を変えずに、著者に分かりやすい表現を用いる、いわゆる「パラフレーズ」が重要になると言えます。
Seeklではジャーナルの創刊時や国際標準アップデートにおいてあらゆる学会の投稿規定や各種ガイドラインの執筆や改訂を行っており、国際基準に準拠した上で読みやすい規定作りを心掛けていきます。
ご興味のある方は是非、こちらのフォームからお問合せください。