2024年CSE参加報告その2:論文工場 Paper Millsの暗躍

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今年のCSEでAIに加えて大きなトピックとして取り上げられていたのは「論文の不正」です。研究者は常に”Publish or Perish”(=出版するか、消えるか)というプレッシャー下にあり、またその競争も激化する中において、色々な国際基準も色々なアップデートを行い、注意喚起をし、投稿規定を厳格化してもやはり不正は無くなりません。

特に今回のCSEで大規模の全員参加型のディスカッションが行われたPaper Millsについては7、8年前に一度話題になったテーマですが、今でもその手法を巧妙化し、暗躍しているようです。

ではなぜ、Paper Millsについて皆さんに知って欲しいか?というと、それは「一度ジャーナルが見落とすと、ターゲットになる」というところです。

世の色々な詐欺や不正行為と同様に、不正を行う側は相手のスキを見つけて、そこに付け込みます。Paper Millsの場合はジャーナルの「査読が緩い」と思われたら最後、一気に大量の論文を投稿してくるのがその特徴です。

Paper Millsにとって緩さの判断にされるのが、論文採択(Accept)です。CSEで同じテーブルに座ったジャーナル編集事務局の方々は、1つのPaper Mills論文を採択してしまったが故に、一気に投稿数が増えた。そしてなぜ増えたのか?を分析してみたら、AcceptされたPaper Mills論文の採択日を境に増えていた、という結果です。

では、この様な論文の投稿を見抜くためには、なにをしたら良いのか?それは「しっかりと査読すること」以外に方法はありません。研究テーマはもちろん、手法、内容に矛盾が無いか、データの信ぴょう性、引用文献の適格性など、論文の要素をしっかりと査読する事が重要になります。

もし皆さんのジャーナルで下記の様な事があった場合には、Paper Millsからの投稿を疑った方が良いかもしれません。
明確な理由は無く、同じ国や地域からの投稿が増えた、
同じ領域からの同じ様な研究結果が増えた、

もし発覚した場合はCOPE(Committee on Publication Ethics=編集倫理委員会)のフローに則ってしっかりと対応する必要があります。

SeeklではCOPE会員による出版倫理問題に関するコンサルティングを提供しています。もし皆さんのジャーナルでPaper Millsの疑いがある論文が数多く投稿されてしまっている、または掲載されてしまった等の学術出版における倫理問題にお困りの際はSeeklにお問合せください。