ジャーナルのSNSが陥りがちな問題とその対策とは?

TikTok、Instagram、X、Facebook…。世はすでにSNSがあたりまえの時代となりました。国内外を問わず、多くのジャーナルや学会もSNS運用に乗り出しています。が、成功するアカウントはほんの一握りで、開設したまま放置されていたり、最後の投稿から数年以上空いているようなアカウントが、圧倒的に多いのが現実です。
大成功とまではいかなくても、継続的な活動を続け、数百~数千人規模のフォロワーを獲得できるアカウント運用を目指したいところですが、いったい何が必要なのでしょう?
そこで今回のテーマは、ずばり『失敗しない学会/ジャーナルSNSの進め方』です。
これからSNS運用に取り組まれる方はもちろん、すでに始めている方にもご参考となれば嬉しいです。

はじめに:なぜSNSが有効なのか

学会・ジャーナルの広報ツールとしてSNSが注目されている理由をまとめると、次の通りです。

  • SNSはどんどん盛り上がっており、国内外、老若男女を問わず、幅広くアプローチできる
  • ユーザー側の興味に基づいて表示がされるため、会員はもちろん、会員外にもアプローチできる
  • アカウント作成には費用が掛からず、低コストで始められる

以下に少々詳しく書きます。

1.国内外の幅広い年代が利用している

総務省の発表した「令和3年通信利用動向調査」(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/220527_1.pdf)によると、令和3年時点で国内人口の80%が何らかのSNSを利用しているそうです。かつては若年層が中心のイメージでしたが、今では60代も70%が利用しているなど、幅広い年代に身近な存在になりました。もちろん、国外ではもっとずっと活用されています。

2.タイムライン=“類は友を呼ぶ”仕組み

ソーシャルメディアの大きな特徴として、ユーザーのタイムラインにはその人が興味を持つであろう投稿が優先して表示されます。学協会やジャーナルとして発表する内容は専門的な研究者向けのことが多いため、この特徴が生かされやすい仕組みと思われます。記事の共有なども盛んですので、部外者の目に触れる機会も増えることでしょう。

3.アカウント作成、投稿は無料が多い

XやFacebookなどはアカウントの作成、投稿を無料で行えます。一方、学術大会への広報ブース出展や、雑誌への広告掲載には大きな予算が必要ですので、広報の面からも無料で始められるというのは強力なメリットとなります。

どうでしょう? 流行っていて効果も期待できそう、しかも無料で始められる。ならば『とりあえずやってみよう』と思いますよね! しかし…。

もったいない! 放置されるSNSアカウントがほとんど

SNSではフォロワーがたくさんいて活発なアカウントが目立ちます。しかしその一方で、開設直後は何度か投稿したものの次第に更新頻度が減り、そのまま放置されている、少し探しただけでそんなアカウントばかりが出てきます。
SNSは始めるより継続するのが圧倒的に難しい、というのが現実なのです。

活動を続けるためには、下準備が重要!

では、上手く活動を続けられるジャーナルとそうでないジャーナルの違いはどこにあるのか。一言でいうと「事前準備ができているか」にかかっています。これができれば、ほんの一握りの“生き残る”人気アカウントになれる確率がぐっと上がります。

事前準備に必要な具体例を、順に挙げてみます。

1.実務担当者と責任者を決める

初めにSNSの担当者を決めましょう。この時重要なのは、実務担当者だけではなく全体の責任者も決めておくことです。一人で両方を兼ねてもかまいません。責任者は運用方針などの検討に加え、実務担当者の相談役になります。投稿によってはユーザーから研究内容などに関する質問がくるかもしれません。実務担当者からは回答が難しいこともあるので、代わって対応できるようその分野に精通した方を責任者とするのがいいでしょう。

2.運用する目的の検討・決定

次に行うことはSNSを行う目的を定めることです。それによって運用のやり方は全く変わります。一般市民向けの啓発なのか、学会活動の報告なのか、目的によって想定されるターゲットは変わりますし、投稿内容の方向性もおのずと見えてきます。

3.投稿の内容とフローを考える

SNS運用の目的が決まったら、投稿内容を考えます。設定した主なターゲット層が興味を持ちそうなコンテンツを考えていきます。同時に投稿記事を誰がいつ作成し投稿するのか、またその頻度についても考えましょう。投稿内容と記事作成~投稿のフローを決めておくことは、SNS運用を続ける上で一番重要な工程です。しっかりと検討しましょう。

4.運用するSNSを検討する

SNSはサービスごとに特徴が異なるため、使っているユーザー層も変われば拡散されやすいコンテンツも異なります。目的を達成するためにはどのSNSを選択するのがいいか検討しましょう。ちなみに、実務担当者はSNS運用を開始すると想像以上の負担を感じることが多いようです。複数のSNSを運用する場合もまずは1つのSNSから始めて、軌道に乗ってから別のSNSを開始するのがおすすめです。

5.フォロワー数を増やす

SNSへの投稿の効果を大きくするには、フォロワー数を増やすことが何よりも重要です。アカウントを作成したら、まずは広く知ってもらうための活動を行いましょう。例えば、SNSの目的が研究者向けであれば、まずは学会員にフォローしてもらうことを第一歩として良いでしょう。学会HPへの掲載や会員向けメールマガジンでの宣伝、学術大会HPでのバナー掲載など、学協会が持つあらゆるチャンネルを使って、“ジャーナル・学会がSNSを始めたよ!”と、どんどん宣伝してください。

いかがでしたでしょうか。上記の5つに取り組むだけでも、SNS運用が頓挫してしまう可能性をぐっと抑えることができます。これからSNSを始める場合も、すでに動き出しているSNSの体制を立て直す場合にも、きっとヒントになるはずです。

とはいえ、SNSを大きくし、絶えず更新や投稿を続けていくのには、思った以上の負担がかかるのも現実です。われわれSeeklでは、ジャーナル広報の一環としてSNS運用もサポートしていますので、立ち上げ/立て直しのサポートから日々の運用まで、お困りのことがあれば一度ぜひお問合せください。お待ちしております。