CSE参加報告第一弾は、「ジャーナル創刊」についてです。ジャーナルの新規創刊時に考慮すべき事項は多岐に渡り、さらに初期段階での決定内容がその後の運用を左右するため、綿密な設計が欠かせません。
これまでジャーナル創刊に多く携わってきたSeeklとしても学びの多いセッションでしたので、重要なポイントをご紹介します。
1. 「なぜ新しいジャーナルを作るのか」
まず、ジャーナル創刊の前段階として、なぜ新規創刊をしたいのか、という理由から検討する必要があります。新規創刊には、どういった動機があるでしょうか。学会公式のジャーナルを持ちたい、まだジャーナルの数が少ない新興分野のニーズに応えたい、特定の層からの投稿の受け皿を作りたい……。
様々な理由があり得ますが、背景にある課題は何か、創刊によって解決できる部分とできない部分は何か、などについても検討することで、その後の計画立案がスムーズになります。
新規創刊は万能の解決策ではないため、残る課題にどう対応するか、も重要な観点のひとつです。
そのうえで分野の将来性やニーズ、競合誌について事前に分析することで、ジャーナルの方針を明確にすることができます。その際には勢いで進めるのではなく、データに基づいて判断することの重要性が強調されていました。
2. 財政計画の作成
ジャーナルは創刊して終わりではなく、その先では継続的な運営という段階が待っています。安定した運営のためには、実現可能な計画立案が求められます。支出を細かく想定した上で、収入については楽観的な想定を避けなければなりません。具体的には、以下のような注意点が挙げられていました。
- 投稿数や掲載数を多く見積もらないようにすること
- 創刊直後は知名度もなくデータベース収載もないため、APCを高く設定できないこと
- 広告や商業収入もすぐには期待できないこと
二年目から大きく伸びる前提で計画を立ててしまうと、実際の運用との間に大きなギャップが生まれかねないため、データベース収載の想定やAPCの導入についても慎重さが求められます。
3. 編集体制の設計
ジャーナル運営の要となる編集委員会を立ち上げるにあたっても、考えるポイントが多くあります。例えば、「Editorial Board」という単語一つとっても、それが具体的に何を指すかは組織によって異なります。内部での役割分担や委員の任期、会議の頻度、委員の評価方法といった細かい点についても、文書化しておくことが推奨されていました。
また、編集委員の選び方も重要です。所属先、性別、国籍など多様性を意識した構成や、将来の人材育成を見据えた若手研究者の組み込みなどが挙げられました。
4. 評価方法の決定
計画・実行の先には効果測定が不可欠です。ジャーナルの新規創刊も例外ではなく、創刊が成功したかどうかの評価方法は、創刊前に決めておくことが推奨されていました。具体的には、次のような指標が存在します。
- 投稿数
- 掲載数
- 収益
- 学術データベースへの収載
どの指標をどのタイミングの評価に使用するかは、ジャーナルの状況や分野、目指すゴールによっても異なります。こうした指標を手掛かりに現状を把握し、立案した計画の継続・改善・見直しを判断していくことができます。
今回ご紹介したポイント以外にも、投稿査読システムの選定や投稿を集める際の注意点など、創刊時に必要な事柄が広くカバーされているセッションでした。
ジャーナルを新規創刊したい、と思っても、やるべきことが多すぎて何から手をつければいいのかわからなくなってしまいがちです。まずは「なぜ創刊をしたいのか」という動機を掘り下げるところから始めてみるのがいいかもしれません。
Seeklの創刊コンサルティングでは、各ジャーナルに合わせ、必要な要素を特定し、創刊後の目標達成まで見据えた計画の立案・実行をサポートしています。刊行中ジャーナルのリフォームにも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

