SCImago Journal RankはJournal Impact Factorを補完できるか?

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SCImago Journal RankはJournal Impact Factorを補完できるか?

ジャーナル評価指標といえば、多くの人がまず思い浮かべるのはJournal Impact Factor(JIF)でしょう。研究業績の評価や投稿先選びで、JIFは長年「共通言語」として使われ、今も世界中で参照されています。

JIFは「ある年に、直前2年間の論文が受けた被引用数」を「その直前2年間に出版された論文数」で割った値、という非常にシンプルな指標です。しかし、シンプルであるがゆえに欠点が指摘されることも少なくありません。
本記事では、JIFの欠点をカバーしうる指標の一つであるSCImago Journal Rank(SJR)をご紹介します。JIFと何が違うのか、どの点で補完関係にあるのかを見ていきましょう。

SJRとは

SJRは、SCImago Journal & Country Rankで公開されている、ジャーナルの影響力を評価する指標の一つです。ジャーナルの個別ページには、ジャーナルの概要や各種指標、類似ジャーナルなどが見やすく掲載されています。ほかにも、ジャーナルや国別のランキングが掲載されており、眺めているだけでも楽しめるサイトです。
誰でも無料で閲覧できますので、ぜひご覧ください。

SCImago Journal & Country Rank https://www.scimagojr.com/

SJRの特徴

SJRの最大の特徴は、「引用元ジャーナルの重み付け」を行う点です。単純に「何件引用されたか」ではなく、「どのようなジャーナルから引用されたか」を加味します。
GoogleのPageRankを参考にして作られており、影響力の高いジャーナルからの引用は高く評価され、そうでないジャーナルからの引用は相対的に低く評価されます。つまり、「評価の高いジャーナルに引用されると、その評価の高さを少し分けてもらえる」というイメージです。単なる引用回数だけでは分からないジャーナル評価が、数値に表れます。

JIF、CiteScoreとの比較

JIF、SJR、そして同じくScopusのデータを基に算出されるCiteScoreはいずれも「被引用に基づくジャーナル評価指標」ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
最も大きく異なるのは、評価の「軸」の違いです。

  • JIF:平均被引用回数という「量」に特化した指標
  • CiteScore:JIFより広い範囲を対象にした「量」の指標
  • SJR:被引用回数に引用元ジャーナルの影響力を加味した「量+質」の指標

JIFとCiteScoreは、ともに「量」を評価する指標という点で共通しています。対してSJRは引用元ジャーナルの影響力を加味することで、「量」と「質」の両方を含めた指標となっています。これによりSJRは、「このジャーナルが、どのレベルのコミュニティで読まれているのか」を推測する手がかりにもなります。
例えば、JIFやCiteScoreが同程度のジャーナルを比較した際、SJRが高いジャーナルは、よりレベルの高い読者層を持つジャーナルだといえるでしょう。

次に、情報源となるデータベースと集計対象期間の違いです。JIFはWeb of Scienceを参照し、集計対象期間は過去2年間です。CiteScoreとSJRはScopusを使用する点は共通ですが、前者は過去4年間、SJRは過去3年間のデータを用います。
短期的なトレンド変化を捉えたいならJIF、ある程度の安定性を重視するならCiteScore、その中間にSJRが位置している、ともいえます。

まとめ

JIFは「どれだけ引用されたか」を短期的に示す、最も分かりやすい指標です。しかし、それだけでは引用元の質やジャーナル間のネットワーク構造までは見えません。

SJRは、Scopusの幅広いデータを利用しつつ、引用元ジャーナルの影響力を重み付けすることで、「量」だけでなく「権威の移転」を可視化しようとする試みといえます。JIFで「短期的な平均引用数」を把握し、CiteScoreで「広いスコープでの引用の量」を確認し、SJRで「どのレベルのジャーナルから認知されているか」を見る――このようにいくつかの指標を組み合わせることで、ジャーナルの位置づけをより立体的に捉えられるでしょう。

それぞれの指標の設計思想を理解して使い分ければ、より納得感のある判断につながります。JIFの「量」をSJRの「質」が補完する構図を意識しながら、自分の分野や目的に合った指標の組み合わせを検討してみてください。